代表コラム 「安心をつくるまなざし」
代表の豊平さとみです。
学校でも、会社でも、安心安全が叫ばれています。
「心理的安全性」という言葉を、目にされたこともあるかと思います。
これは、ハーバードビジネススクールのエイミーエドモンドソン教授により提唱され、
Googleが実証実験で「チームの生産性向上の最重要要素」と位置づけた概念です。
会社員時代、何かの研修で初めて聞いた時、
素晴らしいけど、そんな夢のようなもの、、、、と、思いました。
隣にいた10歳上の男性の先輩は、
「そんな腑抜けたことがまかり通るなんてありえん」と、言いました。
このタイミングで、腑抜けといってしまうこの人がいる限り、
安心はないなぁ、、、と、思ったのを覚えています。
言いたいことを言えるって大事だけど、
少なくとも、ここで腑抜けと言われたら、私は言いたいことが言えない。
何を言っても非難されそう、と、思ったのです。
その後、しばらく経ち、
私自身に、妊娠・出産・産休育休、、、というライフイベントがあり、
私は、ビジネス書を育児書をに変え、よく読むようになりました。
育児書には、子どもには安全な基地が大事で、
子どもと健全な愛着形成ができた養育者がいると、子どもは、冒険できるようになる。
チャレンジするには、安心できる基地(ベース)が必要なのだと。
ここで、以前に会社の研修で聞いた、心理的安全性を思い出しました。
この子どもに必要な基地と心理的安全性は
とても似ていて、根本は同じところにあるのでは、と、思ったのです。
赤ちゃんにとって
寝返り、ハイハイ、立つこと、伝い歩き、歩くこと
そのどれもが、一つ一つチャレンジです。
大人は、赤ちゃんがそのうち歩くことを知っています。
ですから、その姿は微笑ましいものであり、
バカにするものではありません。
歩けないからといって、この時期の子どもを怒ることはないでしょう。
自分にとって、簡単なものでも、
相手にとっては、簡単ではなく、チャレンジであるかもしれない。
このことは、本当に忘れがちです。
心理的安全性は、とても誤解されやすい概念です。
仲良く、とも違います。
なんでも言える、も、違います。
心理的に安心安全であれば、
感じ悪いことが起きない、わけではないのです。
そうではなくて、
感じの悪いことがあっても、
それが真摯な態度から起こることであったら、
お互いへの貢献に繋がる、と、信じられている関係性であることが、
安心安全を産むのだと思います。
相手の行動が理解できなくても、
相手の大事な何かを起点にした行動であろう、と、信じるまなざし。
それが、安心安全にチャレンジするための人間関係を作りますし、
自分も相手も等身大でいられるということだと思うのです。
より肩の力を抜いて、自分とお互いを信じていく。
多様で正解のないこの社会。
そんな信じられるベースが、子育て期にも、仕事の上でも必要になっているのです。
このまなざしを培うには、
多くの人の話を聴き、
違う人生・状況の方の心情を想像し、
寄り添おうとすることで叶います。
「聴く」ことを学び実践することは、一生ものの、本物の在り方を整えます。