【研修開催報告】「力を奪わない、本当に役立つ支援とは」ホームスタート・ビジター 傾聴スキルアップ講座

2026年10月、子育て家庭への訪問支援を行う「ホームスタート」のビジター(訪問支援ボランティア)の皆さんを対象に、傾聴スキルアップ講座をお届けしました。

ご依頼くださったのは、千葉県船橋市でホームスタートの活動に取り組む市民団体・NPO法人ホームスタートしゅっぽっぽさん。
ビジター養成講座にも2回呼んでいただき、今回が3回目の出張講座になりました。

参加されたのは、10年近い経験を持つベテランから、今年初めて訪問活動を始めた方まで、約20名の皆さんです。

今回のテーマは、

「傾聴力の磨き方 ~力を奪わない・本当に役立つ支援とは~」

2時間の参加型研修を通して、傾聴の基本を確かめながら、相手の力を信頼し、尊重する関わり方について学び合いました。

内容

「よかれと思って」が、相手のニーズとズレていたら?

子育て中の家庭を訪問し、親御さんの話を聴き、育児や家事を一緒に行うホームスタートの活動。地域で子育て中の親御さんにとって、とても頼れる味方です。

その意義ある活動いおいて、訪問する人される人が双方心地よくいられるコミュニケーションができるように、一歩踏み込んで考えてみました。

例えば、落ち込んでいる人を励ましたり、頑張っている人を褒めたり、困っている人にアドバイスしたり…どれも日常ではごく自然な、善意からのコミュニケーションです。

でも、相手が今、本当に求めていることとはズレてしまうことがあります。

安心して気持ちを話したい。自分の考えを整理したい。ただただ、そのまま受け止めてほしい、だけかもしれません。
せっかくもらったアドバイスが、すでにやってみてうまくいかなかったことかもしれませんし、実行できない自分をさらに責めてしまうかもしれません。

今回の講座では、こんな風に、聴き手の善意が裏目に出ることがない、傾聴の力を体験していただきました。

「ただ聴いてもらう」ことを体験する

講座では、傾聴の概要を復習したあと、2人組で聴き合う実習を行いました。

聴き手がするのは、あいづちとオウム返しだけ。質問やアドバイスをせず、話し手が見ている情景を一緒に見るようなつもりで、4分間耳を傾けます。

シンプルですが、やってみると意外に難しいもの。

何か言いたくなったり、質問したくなったり、沈黙が気になったり。

一方で、話し手役をやるときには、ただ聴いてもらうだけでも安心して話せることや、話しているうちに自分の気持ちが整理されていくことも体験されたようです。

後半には、もう一段深く「共感」を学んだ後に、さらに6分間の聴き合いを行いました。

最初の実習では4分が長く感じたのに、学んだあとの実習では6分が自然に聴けるようになっていた、と研修中にすでにスキルアップしていたことを報告してくださった方もいらっしゃいました。

傾聴は、知識として理解するだけではなかなか実践できないものです。自分が聴いてもらう体験を通して、その意味を実感することで、より再現度があがっていきます。

気持ちを変えようとせず、そのまま受け止める

講座では、慰める、励ます、褒める、アドバイスするといった声かけについても、参加者とのロールプレイを交えながら考えました。

こうした声かけが悪いわけではありません。受け取る人や状況によっては、あたたかい励ましになることもあります。

ただ、聴き手が相手の気持ちを変えようとしたり、先回りして解決しようとしたりすると、相手が自分の気持ちを十分に味わい、考える機会を狭めてしまうこともあります。

ブライト・リスニングで大切にしているのは、相手の感情を変えようとせず、その奥にある望みも含めて、ともに感じようとすること。

怒りや悲しみ、不安といった、一見ネガティブな感情にも、その人が大切にしているものが隠れています。

聴き手が気持ちに寄り添い、耳を傾けることで、話し手自身が気づき、考えを整理し、自分で選択する力を取り戻していく。その瞬間に立ち会うと、聴く側にもエネルギーが湧いてきます。リスママのボランティア・リスナーが活動を続けている、力の源でもあります。

ぜひ、ホームスタートのビジターさんたちにも、この体験を分かち合いたいと今回のプログラムを作りました。

相手の力を信じることも、支援のひとつ

講座中何度か繰り返しお伝えしたのは、「相手はもともと力を持っている」ということです。

慣れない子育てのストレスや疲労、不安などによって、一時的に自分の力を発揮しにくくなっていることはあります。

だからといって、支援者が代わりに答えを出す必要はありません。

相手を変えようとしない。こちらが解決しようとしない。先回りしてアドバイスしない。

その代わりに、気持ちと望みに寄り添い、その人が本当に大切にしたいものを大切にできるよう支える。

そして、必要なときには一緒に考え、協働する。

支援する人とされる人、という一方通行の関係ではなく、対等な人と人として、尊重と信頼を土台に関わること。

それが、相手の力を奪わない支援につながると考えています。

ビジター自身も、健やかでいられるように

参加者の皆さんの感想からは、聴き方の具体的な方法がわかったという声に加え、無理に褒めたり、何か役立つことを言ったりしなくてもよいと知って、気持ちがラクになった様子もうかがえました。

また、聴いてもらうことで自分自身の気持ちが落ち着き、考えが深まっていくという、話し手になった時の気づきも寄せられました。

講座の最後には、支援者自身のセルフケアについてお話ししました。

・相手の問題を自分のものとして背負い込まず、健全な境界線を持つこと。

・自分自身も、気持ちや望みを大切にし、安心して話せる場を持つこと。

そんな姿勢が、子育て家庭の安心につながっていくのではないでしょうか。

今回の研修が、皆さんの日々の訪問活動をよりあたたかいものにしていく一助となれば幸いです。

ご参加くださった皆さん、企画・運営してくださったNPO法人ホームスタートしゅっぽっぽの皆さん、ありがとうございました。

PTA・学校・地域団体向け講座のご案内

NPO法人リスニングママ・プロジェクトでは、各地のPTAや学校、地域団体などからご依頼をいただき、コミュニケーション講座を開催しています。

ご希望や対象者に合わせて内容をカスタマイズいたします。(これまでの実績例はこちら)

講座・研修のご相談は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

講師:高橋ライチ

NPO法人リスニングママ・プロジェクト 発起人・理事・代表講師

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
内容