自分自身をつかむこと(NPO法人設立8周年に寄せて)

NPO法人設立8周年に寄せて
こんにちは
代表理事の豊平さとみです。
2018年9月20日、リスママはNPO法人になりました。(任意団体としては2014年からです)
今日でNPO丸8年です。
もう8年経つんだなぁと感慨深いです。
そして、社会大きく変わり、AIが私たちの判断まで助けてくれるようになった今、あらためて考えたいことがあります。
それは、自分自身をしっかりつかんでおくこと。
そして、大切な人を、その人のまま知っていくことです。
自分を置き去りにしないために
リスママの設立当時、私が強く感じていたのは、自分自身も含めた子育て中の母親が「自分を置き去りにしてしまう」ということでした。
子どものため。家族のため。仕事のため。
目の前のことに応え続けるうちに、「私は何が好きで、どうしたいのか」が、だんだん分からなくなっていく。
だからこそ、安心して話を聴いてもらい、自分の気持ちを確かめられる場所が必要だと思っていました。
それから8年。
今、私たちを取り巻く環境は、大きく変わりました。
AIが変えた「判断」の速度
AIによって、ものを調べる速度だけではなく、考え、選び、判断する速度まで大きく変わりました。
自分について深く考えなくても、これまでの言葉や行動をもとに、AIが「あなたらしい選択」を提案してくれる。
自分自身をじっくり見つめなくても、それらしい答えにたどり着ける時代になりつつあります。
それは、とても便利で、心強いことです。
けれど、さまざまなことが楽になる一方で、これまで忙しさの陰に隠れていた「しんどさ」が、かえってはっきりと現れてくるのではないか。
私は、そんなことも感じています。
AIが「自分らしい答え」を出してくれる時代だからこそ、「私は本当はどうしたいのか」を、自分自身が知っておくことが、ますます大切になるのではないでしょうか。
子どもたちから感じる社会の変化
私は今、学研の先生、フリースクールのスタッフ、通信制高校の学習支援員として、年長児から高校3年生まで、幅広い年齢の子どもたちと日々話す生活をしています。
その中で感じるのは、「子ども」と呼ばれるすべての年代で、“普通”がどんどん変わっているということです。
先生や保護者など、今の大人たちが子ども時代に抱えていた不全感。
満たされなかった思いや、我慢してきたこと、認めてもらえなかった痛み。
大人の中に残されたままのそれらが、今の子どもたちに、より大きくなって跳ね返ってきているような怖さを感じることもあります。
だからこそ、まずは母親自身が健やかであることが大切です。
私は何が欲しいのか。
何が好きなのか。
何に不安なのか。
子どものために、今は何を我慢しているのか。
将来はどうしたいのか。
理想と現実の間で、どのように折り合いをつけているのか。
自分の心や気持ちを振り返り、AIの答えや世間の評価に負けない「確かな自分」をつかんでおくこと。
そして、自分が子ども時代に抱えた不全感を、自分自身で少しずつ解消していくこと。
それを、できるだけそのまま子どもに渡さないようにすること。
社会の中にある構造的な問題を少しでも改善するために、今、大人側の「知識のアップデート」と「自己理解」が、とても大切になっていると思います。
「聴く」を識るということ
子どもがいつまでも子どもではないのと同じように、大人もずっと同じではありません。
年齢を重ね、環境が変われば、感じることも、大切にしたいことも変わります。
だから、自分自身への理解も、一度深めたら終わりではありません。
日々、アップデートしていくものです。
今の私は、何を感じているのか。
何を大切にしたいのか。
これから、どう生きたいのか。
その確認を助けてくれるのが、リスママが届けたい「聴いてもらう体験」です。
私たちの「聴く」は、相手を評価したり、こちらの答えを押しつけたりするのではなく、その人を丸ごと受け止める「聴き方」です。
私たち大人がアップデートできることは、まだまだたくさんあります。
「聴く」を識ることは、AIにも、世間の評価にも明け渡さない「自分らしさ」を、自分自身でつかむこと。
同時に、大切な人の中にある「その人らしさ」を、こちらの思い込みで決めつけずに、知っていくことでもあります。
自分をつかみ、相手を知る。
どちらかを我慢させるのではなく、違いがあるまま、一緒に生きていく方法を探す。
「聴く」ことには、そんな関係をつくる力があります。
明るく、やさしく、おもしろい社会へ
丸8年。
今、社会が大きな転換期にあることを、誰もが肌で感じているのではないでしょうか。
変化が大きい時代は、不安も大きくなります。
でも同時に、これまで「仕方がない」と思っていたことを変えていける時代でもあります。
大人の聴き方が変われば、子どもとの関係が変わる。
家庭の中の会話が変わる。
学校や職場、地域の中にある関係も変わっていく。
一人の変化は、その人だけで終わりません。
自分を大切にできる人が、目の前の人を大切にする。
大切にされた人が、また次の誰かを大切にする。
そんなつながりがあちこちに増えていったら、社会は今よりもっと、明るく、やさしく、おもしろい場所になるはずです。
私は、そんな次の社会を本気で楽しみにしています。
大丈夫。
私たちには、自分を知る力があります。
人の話を聴く力があります。
関係をつくり直す力も、社会を変えていく力もあります。
「できない自分」に縛られるのではなく、社会との関わりの中で「できる自分」に出会っていく。
それを、リスママで一緒にやっていく人をもっともっと増やしていけたらと思っています。
聴いてもらい、自分をつかむ。
聴くことを学び、大切な人をもっと識る。
そして、それぞれの力を持ち寄って、私たちが暮らしたい社会をつくっていく。
リスママはこれからも、「聴くを学ぶこと」と「聴いてもらうこと」を通して、人と人がもっと軽やかにつながり、それぞれの力を発揮できる社会を、皆さんと一緒につくっていきます。
丸8年の、その先へ。
明るく、やさしく、おもしろい次の社会を、ここから一緒につくっていきましょう。
